発達のとびら 発達障害の情報を、ひとつの入口から

日本の制度の歴史

「発達障害」が法律のことばになったのは2004年です。それ以前、制度の谷間に落ちていた人たちがいました。いまある制度は、その谷を埋めるために作られてきたものです。

かんたんにいうと

  • 「発達障害」が法律のことばになったのは2004年です。
  • それまでは、支援の制度がありませんでした。
  • 制度は、いまも少しずつ変わっています。

2004年より前:制度の谷間

2004年に発達障害者支援法ができるまで、発達障害は日本の福祉制度にきちんと位置づけられていませんでした。

当時の障害福祉は、身体障害・知的障害・精神障害の3つの枠組みで組み立てられていました。知的な遅れをともなわない発達障害は、どの枠にも入りにくい状態でした。

その結果、何が起きたか。

「制度の谷間」と呼ばれた状態です。発達障害者支援法は、この谷を埋めるために作られました。

年表

2000年代 — 位置づけができる

できごと
2002年文部科学省が、通常の学級で特別な教育的支援を必要とする児童生徒についての全国調査を実施
2004年12月発達障害者支援法が成立(平成16年法律第167号)
2005年4月同法 施行。「発達障害」が法律上の用語になる。 都道府県への発達障害者支援センターの設置が進む
2006年学校教育法施行規則の改正で、通級による指導の対象にLD・ADHDが加わる
2007年4月学校教育法の改正により、特殊教育から特別支援教育へ転換。対象が広がり、通常の学級に在籍する子どもも含まれるようになった

2010年代 — 権利の枠組みへ

できごと
2011年障害者基本法の改正。障害者の定義に発達障害が明記される。「社会的障壁」という考え方が条文に入る
2012年文部科学省の調査。通常の学級で学習面・行動面に著しい困難を示す児童生徒の割合は6.5%(学習面・行動面の合計)
2013年障害者差別解消法が成立(平成25年法律第65号)
2014年1月日本が障害者権利条約を批准
2016年4月障害者差別解消法 施行。行政機関は合理的配慮が義務、民間事業者は努力義務という形でスタート
2016年8月発達障害者支援法の改正法が施行。ライフステージを通じた切れ目のない支援、教育における合理的配慮、就労支援の充実などが盛り込まれる

2020年代 — 義務化

できごと
2022年文部科学省の調査。通常の学級で学習面・行動面に著しい困難を示す児童生徒の割合は8.8%(小・中学校)、高校では2.2%
2023年こども家庭庁が発足。障害児支援の一部を所管
2024年4月改正障害者差別解消法 施行。民間事業者の合理的配慮の提供が努力義務から「義務」に。 学校・職場だけでなく、お店やサービスも対象
2024年4月障害者の法定雇用率が2.5%に引き上げ
2026年7月障害者の法定雇用率が2.7%に。対象事業主は常用労働者37.5人以上に拡大

制度史から見えること

1. 制度は、困った人がいたから作られた

発達障害者支援法は、当事者と家族が声を上げ続けた結果できた法律です。制度は自然にできたのではなく、谷間に落ちた人が実際にいたからできています。

2. 「努力義務」から「義務」へ、という動き方をする

障害者差別解消法の合理的配慮は、2016年に民間は努力義務で始まり、2024年に義務になりました。制度はこの順で段階的に強まることがよくあります。

つまり、いま努力義務のものは、将来義務になる可能性があるということです。

3. 法律のことばは、医学より遅れて動く

発達障害者支援法の条文は、2005年当時の診断名のままです。DSMは2013年に大きく変わりましたが、条文は追随していません。

古い名前が残っているのは、医学的な理由ではなく立法上の事情です。読み替え方は診断名の変遷にまとめています。

いま使える制度へ

ここまでの歴史の結果として、いま使える制度があります。具体的な内容は制度・お金・手続きをご覧ください。制度は改定されるため、最終的なご確認はお住まいの自治体の窓口でお願いします。

出典

最終更新 執筆 sin(ADHDとASDの兄弟を育てています。)