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限局性学習症(SLD・学習障害)とは

全般的な知的発達には遅れがないのに、読む・書く・計算するといった特定の学習だけが著しく難しい状態です。努力不足や勉強不足とは異なります。

かんたんにいうと

  • 読む・書く・計算のどれかだけが、とても難しい状態です。
  • 頭のよさとは関係ありません。
  • 道具や方法を変えると、学べるようになります。

診断の基準はどうなっているか

DSM-5-TR では、限局性学習症(Specific Learning Disorder)は次の条件で定義されます。

  1. 学習や学業的技能の使用に困難があり、適切な指導を受けているにもかかわらず6か月以上続いている
  2. その技能が、年齢から期待される水準より明らかに低い
  3. 学齢期に始まっている(求められる水準が能力を超える時期になって初めて明らかになることもある)
  4. 知的発達症、視力・聴力の問題、他の精神・神経疾患、指導の不足では説明できない

「適切な指導を受けているにもかかわらず」という条件が入っている点が重要です。学習の機会が足りなかっただけの場合は、SLDとは呼びません。

3つの領域

DSM-5-TR では、困難のある領域を明示して診断します。

読字の困難(ディスレクシア)

日本語では、ひらがな・カタカナよりも漢字でつまずきが目立つことがあります。特殊音節(「きゃ」「がっこう」「おとうさん」など)の読みが苦手なこともあります。

書字表出の困難(ディスグラフィア)

算数の困難(ディスカリキュリア)

文部科学省の「学習障害」との違い

日本には、医学の診断基準とは別に、教育分野の定義があります。両者は範囲が違うため、混乱しやすい点です。

文部科学省の定義(教育)DSM-5-TR の SLD(医学)
対象聞く・話す・読む・書く・計算する・推論する の6領域読字・書字表出・算数 の3領域
目的学校での支援の必要性を判断する医学的に診断する
判断する人学校・教育委員会(校内委員会など)医師

学校で「LDの疑い」と言われた場合、それは教育分野の定義にもとづく判断であり、医学的診断とは別のものです。どちらが正しいということではなく、目的が違います。

どれくらいの人がいるのか

DSM-5では、学齢期の子どもの5〜15%とされています(言語や文化によって幅があります)。

文部科学省の2022年の調査では、小中学校の通常学級で「学習面で著しい困難を示す」とされた児童生徒は6.5%でした(学習面に限った数字です。学習面・行動面を合わせた全体は8.8%)。ただしこれは担任等による回答であり、医師の診断ではありません。

学校で受けられる配慮

SLDの支援の中心は、学ぶ道すじを変えることです。同じ方法で量を増やしても改善しにくく、かえって自信を失わせます。

気をつけたいこと

読み書きの困難は、知的な能力とは関係がありません。 内容は十分に理解できているのに、それを読み取る・書き出す部分だけがボトルネックになっている、という状態です。

ここが伝わらないと、「なまけている」「集中していない」と受け取られ、本人は毎日それを言われ続けることになります。SLDで最も守りたいのは、学ぶことそのものを嫌いにならないことです。

診断までの流れは診断・検査の流れ、相談先は相談先・リンクにまとめています。

出典

最終更新 執筆 sin(ADHDとASDの兄弟を育てています。)